Posted in 2009年学友会誌寄稿文 学友便り

[学友便り] 借りてはいけない本

2010 年 4 月 18 日 - 12:21 AM

2003-2004年度GSEメンバー 小笠原 靖

最近、よく図書館に通っています。元々活字を読むのは苦にならず、書店に入って、面白そうな本をぱらぱらとめくるのが好きでした。しかし、保管場所と経済的な理由から、最近は購入からレンタルに変わってきました。

私の行く図書館では、一度に8冊借りることができます。貸し出し期間は最長2週間ですが、予約が入っていなければ、手続きをして更に延長して借りることができます。私は、大概上限いっぱい8冊借りて、帰宅してから少し読み、面白ければ読み進め、そうでなければ返却します。この自由さも図書館の魅力です。

さて、図書館をよく利用するようになってから、新聞やラジオの「書籍紹介」を、以前より興味深く見聞きするようになりました。

ところが、私の自由な図書館利用について考えさせられるラジオ放送を聴いたのです。3月2日(火)NHKラジオ「ビジネス展望」にて、評論家:内橋克人さんが、「心打たれた一冊の本」として紹介していたのは、『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る ~アフガンとの約束(著:中村哲、澤地久枝)』でした。

放送の要旨は、「私の心に深く響いた一冊の本」。日本人ならば誰でも知っている二人が語り合い、対談と対談の間に歴史的事実が淡々とした叙述で挟まれている。時にウィットを交えた分かりやすい対話、しかし背景に、あまりにも過酷な世界の現実、歴史の流れがあることが、読む人の心に染みとおる・・・

中村哲さんは、今も戦乱と旱魃の中にあるアフガンに踏みとどまり、苦闘は既に25年になる。一体何故、一人の日本人医師が、遠いアフガニスタンでそこまでおやりになるのか。その答えがタイトル『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』に表されている。そして、サブタイトル『アフガンとの約束』が、全てを語りつくされている様に感じる。・・・

作家である澤地さんが、何かお役に立ちたい、と思案の末、行き着いたのが、中村先生の本を作って、(そしてこれが難しいのだが)よく売れるよう努め、印税によって若干なりとも助ける。印税は全て捧げられるそうです。・・・」

短い放送時間でしたが、語り手である内橋克人さんの話に引き込まれ、一冊ですが購入することにしました。

さて、学生時代を振り返ると、書店で本を買うときは、よく吟味した上で「よし、買おう!」と「決断」をしていました。この「決断」は、ちょっと大げさに言えば、著者の思いに共感できた瞬間、だと思います。図書館で自由に本を借りることで、一冊一冊に込められた著者の思いを軽く扱っていたのかもしれない、そんなことを考えさせられた「借りてはいけない本(購入したい本)」との出会いでした。

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